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あの円状

言葉ではなんとでも言えるよな。そんなにお上のすることが気に食わないのかい。
たしかにあんたの言ってることは、芯の部分では正論かもしれないよ。いまどき珍しいね。人格者だよ。田にしたもんだよイナゴのションベン、見上げたもんだよ屋根屋のフンドシだね。

だけど、あんたが人格者を全うするそばから、明日、また、少女が犯され、血を流すんだ。罪もない人が何の意味もなく殺されるんだ。言葉だけじゃダメなんだよ。結局、奇麗事なんだよな。

それに人間なんて、正論でくくれるわけねーんだ。ぺらぺら調子に乗って言ってるしりから自分のちっぽけな感情がしみついて汚れたぼろが、ちょろちょろっと見え隠れしてるんだよな。俺たちは、そゆところに敏感だから黙っちゃいられなくなるね。正論からはみ出した泥はねが、きちっと自分にはねかえってくるのがおかしいよ。お里が知れるっていうのか、人をバカにした権威主義が言葉のはしばしに出てくるんだ。

だいたい、客商売の基本が、てめー、わかっちゃいねえんだよな。押し付けるなよ、自分の愚痴を。あんまりいい気になってると、営業所に電凸して文句言うよ、名前覚えたから。

たしかに、異常な正義感にとりつかれたクレーマーが、熱にうかされ、どす黒い憎悪の臭い息を吐いて一方的に攻撃してるみたいに見えるんだろうね。おまえさんたち、え~と知識人には。しかし、どこからそのエネルギーが供給されてると思う?

頭じゃないんだよ、自分の体が素直に欲求してるんだ。

大衆社会?衆愚?
コントロールしようなんて思ったとたんに、よけいに変な方向に行っちゃうよ。いいのかい?

そんなに心配することはないよ。円を描くようにしてぐるぐるまわっていて、俺たちにも次どこにいくのかわからないくらいなんだから。



引用;『虹列車・雛列車』,花村萬月,集英社,2003.6.30.

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