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あの童心

案内された部屋の装飾品のなかには、サーベルと火縄銃、東洋の骨董品、イタリア産のぶどう酒の入ったフラスコ、野蛮人の料理鍋、ふわふわしたペルシャ猫、小さなほこりだらけのローマ・カトリックの神父さんがならんでいた。とくにこの神父さんはこの場から浮いていた。

フランボウが友人に代って質問した。
「生まれ変わりとは何なのでしょう?私たちの内部にある神性とは何か?死んだあとどうなると思いますか?現実を作っているのはすべて私たちの意識なのでしょうか?」

「いいや」と神父が落ち着いて言った。「雪が降りだしたようですね」

神父は続けた。

「一番あとの質問に答えましょう。私の属している会派の見方では、すべては意識が作り出したものだという考え方は、認められていません。現実のなかで、私たちが求めるものは、まず、土台を作ることです。まっさらな土地にして、その上にいろいろな考えを植えつけていくのです。自己中心的な考えや友人と敵とにそれぞれ違う感情を抱くことなど、この平らにならされた土地の上では育ちません。」

「今は、雪が覆い隠しているのでしょう。春になって雪がとければ、小さな誤解もいっしょに溶けてしまうのではないでしょうか。平らな土台の上で成長する作物をみんなで作りましょう。」

フランボウは勢い込んで神父のことばをさえぎった。

「じゃ、どうしてこんな悲惨なことが行われたのでしょうか」

悲しそうな表情を神父はフランボウに向けた。

「見えない人のせいなのです」

「どうやらポストマンには誰も気が付かない」神父は思いやり深く言った。

「けれど、彼らも他の人同様感情を持っている。ついでに小さな死体を簡単につめこんでしまえる大きなかばんを持ち歩いている」

そのあと、星空の下、あの雪で覆われた丘を何時間も神父は殺人者と共に歩いた。
彼らが何を互いに話し合ったかは、誰にもわからなかった。

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