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あの証言

A;こんにちわ、この「死人の写真高く買います」というチラシのことなんですけど。

B;うん。お客さんか、どれどれ、拝見…かわいい女の子じゃないか。

A;この子のおかげで、助かった人が何人もいるそうなんですよ。


あのうすぐらいガマのなか
村中の老若男女よりそって
配給された手榴弾(てりゅうだん)
敵の手にかかるくらいなら自決する


A;その時、3、4歳の女の子が猛烈に泣き出しました。自分の着物を破いて、その泣き声は洞窟に響き渡りました。女の子は泣きじゃくりながら、何度も「あの兵隊さんに殺されるよ、あの兵隊さんに殺されるよ」と言い続けました。

B;……

A;人々はそれに心を奪われ、われにかえりました。
まわりをとりかこんでいる外国兵よりも自分の国の兵隊さんがこわくなったのです。

B;……

A;軍隊は住民を守らない。それに気が付いたのです。

B;ありがとう。きみはわしらのやってることに賛同してくれるんだ。大事な写真のようだから、慎重に扱わせてもらいます。この子の写真を有効に使わせてもらいます。幽霊にも服が要る。住むところもいる。一緒にずっと見守ってあげる人が必要なのは当然だ。

A;いやそういうことではなく…この子はまだ生きています。わたしの写真です。何度も小さいときのことを聞かされていましたが、記憶がなかった。やっと、いま思い出すことができました。あなたはあのとき隊長さんといっしょにおられた方でしょう?

B;資源があっても開発する技術も資金もないこの地方にとって、外部からの大きな援助は必要だ。いま、わしらが大量に移住したり、わしらを守ってくれる国の基地や観光がこの地方にとって必要悪なのはわかるだろう?

A;あのとき、あなたがたが住民を追いやってあの命令をしたのですね。まだ生きていたのですね。

B;オレたちは命令していない。住民虐殺もしていない。発砲もしていない。そんなことにかまけている余裕はなかった。もっと大事な任務をはたすことで頭の中はいっぱいだった。

A;ここにいるよ。幽霊はここにいる。

あの作図

「いや」とシャルラッハが言った。「おれはもっとはかない、もっともろいものを探しているんだ」

対峙しつつその言葉に答えようとして、エリック・レンロックは後ろ手に縛られた縄で自分の腕の皮を挟みうめいた。

「ぼくが目当てだったんだろう? 気づいていたよ。でもそんなに複雑なことをしなくてもよかったのに。アガルマ夫人をまきこむこともなかった。きみらしくもない」

「指桑罵槐なのさ。輪廻の中に生きるものたちには、何も確固としたものはない。親しい人や嫌いな人というのは、果たして決まっているものなのだろうか。敵はいつまでも敵のままでいるとは限らず、ときには友となる。当然、その逆もあり得る。長い輪廻の中ではすべての人はみな等しく敵となって、また友となってきたし、またみな等しくニュートラルな人となってきた。一時的なことに気をとられずに、もっと全体をみてほしい」

彼がその計画の全体でしめそうとしていることに気がつき、レンロックはふたたびうめいた。

「狂犬病対策として犬たちを捕獲しながら、それらを愛護のため生かしておく政策が発表されたとき耳を疑ったが、やはりそうだったのか。世界の文化国家の一員に本気でなろうとしているんだね。あの帝国にくらべれば一桁も二桁も犠牲の民間人の数は少ないが、やってることは同じだ」

「そう、5つの輪の迷路がこれで完成したんだ」

シャルラッハの拳銃が火を吹いた。

あの虐殺

抑(ソモソモ)、その冥府と云ふは、此顕国(コノウツシクニ)をおきて、別(コト)に一処(ヒト丶コロ)あるにもあらず、直(タヾチ)にこの顕国(ウツシクニ)の内(ウチ)いづこにも有(ア)なれども、幽冥(ホノカ)にして、現世(ウツシヨ)とは隔(ヘダ丶)り見えず。その冥府(メイフ)よりは、人のしわざのよく見ゆめるを、

〈此は、古今の事実の上にて、明(アキラカ)にしか知らるゝことなれば、こそぼ・いらくでのありごと、今例(タメシ)を挙(アゲ)ていはずとも誰(タレ)も知らなむ。〉

顕世(ウツシヨ)よりは、その幽冥を見ることあたはず。そを譬(タト)へば、燈火(トモシビ)の籠(カゴ)を、白(シロ)きと黒(クロ)きとの紙もて、中間(ナカラ)より貼り分(ワカ)ち、そを一間(ヒトマ)におきたらむが如く、その闇方(クラキカタ)よりは、明方(アカキカタ)のよく見ゆれど、明方よりは、闇方の見えぬを以(モ)て、此差別(コノケヂメ)を暁(サト)り、はた幽冥(カミゴト)の、畏(カシコ)きことをも暁りねかし。

〈但し此は冥府は闇く、顕世のみ、明きとのことにはあらず、な思ひ混(まが)へそよ。たまゝゝは、現身(ウツシミ)ながらに幽冥に往還(ユキカヒ)せるものもあるを、世の生々(ナマゝゝ)しき学びの徒(トモガラ)、その幽冥を見むとするに、見えぬものから、なしと思ふは、いと愚(オロカ)なることなり。かの地の動物虐殺を論難し、自ら愛護と熟(ヨ)く、心得わきまへざらむかぎりは、いかほど事は泛(ヒロ)く知るとも、なほ尻青々(アヲゝゝ)しきものしりぞも。〉

あの童心

案内された部屋の装飾品のなかには、サーベルと火縄銃、東洋の骨董品、イタリア産のぶどう酒の入ったフラスコ、野蛮人の料理鍋、ふわふわしたペルシャ猫、小さなほこりだらけのローマ・カトリックの神父さんがならんでいた。とくにこの神父さんはこの場から浮いていた。

フランボウが友人に代って質問した。
「生まれ変わりとは何なのでしょう?私たちの内部にある神性とは何か?死んだあとどうなると思いますか?現実を作っているのはすべて私たちの意識なのでしょうか?」

「いいや」と神父が落ち着いて言った。「雪が降りだしたようですね」

神父は続けた。

「一番あとの質問に答えましょう。私の属している会派の見方では、すべては意識が作り出したものだという考え方は、認められていません。現実のなかで、私たちが求めるものは、まず、土台を作ることです。まっさらな土地にして、その上にいろいろな考えを植えつけていくのです。自己中心的な考えや友人と敵とにそれぞれ違う感情を抱くことなど、この平らにならされた土地の上では育ちません。」

「今は、雪が覆い隠しているのでしょう。春になって雪がとければ、小さな誤解もいっしょに溶けてしまうのではないでしょうか。平らな土台の上で成長する作物をみんなで作りましょう。」

フランボウは勢い込んで神父のことばをさえぎった。

「じゃ、どうしてこんな悲惨なことが行われたのでしょうか」

悲しそうな表情を神父はフランボウに向けた。

「見えない人のせいなのです」

「どうやらポストマンには誰も気が付かない」神父は思いやり深く言った。

「けれど、彼らも他の人同様感情を持っている。ついでに小さな死体を簡単につめこんでしまえる大きなかばんを持ち歩いている」

そのあと、星空の下、あの雪で覆われた丘を何時間も神父は殺人者と共に歩いた。
彼らが何を互いに話し合ったかは、誰にもわからなかった。

あの倦厭

家の中はしんと静まっている。もれてくる外部の物音を、もう二度と聞かないであろう耳が集中して拾っていく。貴重な時間が煌めく宝石となって結晶していく。

自分はこの身を捧げる。他の殉教者の魂と合流するのだ。

檄文やわが身を捧げての行動を推し量って大衆は動かない。それは重々承知の上でのことだ。一部のマスコミが一時それを報道しても、官僚によってコントロールされたより多くのまことしやかな記事にそれは埋もれ枯葉のように朽ちていくのだろう。

その害についての学者の啓蒙は、精密な実験を繰り返し出てきた微妙な数字を元に何度も繰り返えされる。それは彼の心を凍らせた。同じ実験を自動車の排気ガスやアスベストで行ってみるが良い。
アスベストを扱う工場で働く夫の作業着洗濯することで肺がんになった妻の解剖所見のレポートとあやふやな対象を追跡したコホート研究の結果とを比較すればいい。

「一小火山の爆発に類し、旧習慣に囚われたる者こそ驚きの目を瞠れ、大波瀾の近づきつつあるは種々の方面に現れている」

彼は床柱を背に正座し、さきほど父のカードを使い近くの自動販売機で買ってきた薄いクリーム色のパッケージを破って中から一本とりだしおもむろに口にくわえた。天が頭上に落ち、世界がぐらついた。あれほど鞏固に見えた自分の意志と勇気が、今は細い針金の一線のようになって、それに縋ってゆかねばならない不安に襲われた。

日輪は瞼の裏に赫奕と昇った。

あの途瀞

名前からわかるように、さつき=メイである。
メイはいつも、さつきと共にいる。
さつきが連れているメイの姿が見えるものは数少ない。
しかし、優しい人たちはさつきの話に合わせてくれている。
彼女は大学に勤めている(非常勤講師の)父親と二人暮しだ。

身体を患った父親は空気のいい土地へ引っ越し、週に何回か大学へ通う。
父親は治療のため(たぶん胃潰瘍)病院にかかっている。
つい先日精密検査をした。
その結果の連絡がもうすぐ来る予定。


彼女の母親は3年ほど前に死んでいる。
さつきは頭では理解できるが、まだ十分に母親が死んだことを認めることができない。
さつきは年に何回か父親の自転車に乗せてもらって山の向こうの墓参りをする。(母親に会いに行く)

さつきはメイを家に置いて学校へ一人で行く。
メイは家で遊んでいる。メイはこの家とまわりの環境が気に入っているようだ。
メイは自分の欲望を実現するために学校へ行き、さつきに行動を共にすることを強制したりする。(サマーワに派兵してもらいたい、とか)。
さつきはたぬきの家族とも仲良くなった。(勘太とその家族)
彼らとの経済的な依存関係はこれから強くなりそうだ。

村の生産と関係のない職業につき、行事にも参加しないさつきの家の立場は微妙だ。
しかし、学校で友達ができるようになって、さつきはメイの姿が見えなくなってくる。
母親の記憶も薄れてきている。

父親の検査の結果を告げる電報を見て、さつきはパニックになる。
父親も母親と同じところに行ってしまうのだろうか?

昼寝の夢の中で、さつきは頼りにしていたメイを探し、ネコバスに乗り、山のむこうの病院で幸せそうな母親と父親の姿を見る。
父親の孤独に気が付いたとき、さつきは現実の生活に戻っていく力を得ている。

あの蜂針

いまここにはいない人のたったひとりの親友だった観葉植物を学校の前の木の下に植える。
マレーシア原産アグラオネマ・ニティドゥム‘カーティシー’。
寒さにはあまり強くないので、大地に根を張って生きていけるかどうかはわからない。

チャンスがひそむ神聖な配列
予測された結果の隠された法則
数の多少がダンスのリードをとる。

きみがいてくれたから、私はこれから生きていく。
きみは私からのプレゼントを彼に渡してくれた。
世界はすこしは変わるのだろうか。

暴力は人々を支配できるだろうけど
愛に負ける。
最初に赦す者は月桂樹の葉の冠を勝ち取るだろう。

私の軍隊がフリーと叫ぶ。


* 4-6行 Sting; The Shape of My Heart より引用

あの異人

環境
ケージで飼う場合は、熱帯魚などの水槽では不向きです。樹上生活を好むので3次元的な活動ができるような大きさのケージを用意しましょう。ちょっと大き目の、最低でも1匹あたり2m~3m立方以上(2匹だとほぼ四畳半程度の空間)のケージが必要です。幼体は成長が早いので注意しましょう。手のひらに乗るような幼体ですが、成体はほぼ2mになります。見た目よりも人になれやすい生き物で、一度飼いだすとその魅力にやみつきになる人が多いのもうなづけます。
病気になったりしたときの手術は体液の関係で困難です。同じ理由で、避妊手術も不可能です。エサは新鮮なものを好みます。生かすも殺すも餌次第です。間違ったエサでは飼い主が危険です。できるだけ新しいものを与えましょう。野生の成体の寿命は約50年です。成体の老化と共に魅力が落ちていくのはしかたがないことです。そのときは次の繁殖を参考にしてください。

繁殖
産卵は、数時間で終わるときもありますが、個体によって数日間にも及ぶ場合があります。産卵直後もしくは、産卵中には栄養価の高いエサをあげましょう。
卵には絶対顔を近づけないようにしましょう。前駆体にとりつかれた場合は、その手順を熟知しているもよりの救急施設に連絡しましょう。お腹の中の幼体はすぐにとりだせば元気に育ちます。幼体の環境によって成体の形態も変化するので簡単に新種をつくることができます。自分の好む形態の成体は、その方法で手にいれましょう。国際的な会議の決議(ウラン濃縮活動の停止など)で卵がかえるのを促してもいいでしょう。同意が得られない場合でも適当な理由をつけて(核施設の破壊など)はじめても追随者があらわれてうまくいくようです。

飼育
知能が高いので、しっかりしつけましょう。エサなどに不満で、逃げた場合もあわてないで、近くの公園など木の多い場所を探しましょう。案外近くで見つかります。上へ逃げることが多いので、逃げた付近の木々の上を徹底的に探しましょう。うまく建物のへこんだ場所に体を押し込んで隠れていることがあるのですみずみまで気をつけましょう。一般に気のいい性格なので、名前を呼んで、ほめてあげると出てきます。くれぐれも、その性格の残虐な面がマスコミ流通しないように報道管制をひいておきましょう。

あの板路

それはしかたがないと言えばそうだ、とクフウフク氏はしゃべりはじめた。自分が所属しているシステムによって、内部の情報はそうなるように導かれ、そのようになっていく。そのシステムに合ったものがつくられる。人間は蝿男にはなれない。

彼女の発話はあらかじめ排除されているということをはっきりさせておく必要がある。彼女の代理人(たち)は彼女が生まれる前からこのシステムの中に存在している。彼らが彼女に代わって抗議する。「真実」を語りだす。と同時に彼女の声は消え、彼女はこの世からいなくなる。

彼女はどこにも所属する場所をもたず、それを操作(移動)する者の素材としてのみこの世界にあらわれることができる。当事者としての言葉をあらかじめ奪われている。彼女は自由であることを約束されている。「そっとしておいて」という言葉を発することもできる。つまり、自由に束縛されている。ほんとうの親のように彼女の身体に気をつかってくれるものもいる。(これからのためにも不妊手術をもれなくほどこすべきだ)。消えてしまった彼女を手放すものはどこにもいない。

真の独立のために、
彼女を生き返らせるために、
いくつもの高い塔が崩れ落ちなければならない。

あの岡真

彼は嘘をつく商人。夢の中で現実化をまぬがれた行為のかわりに、行為によって実現される殺人の夢。
地獄で生きるより、頭の中の天国のほうがマシだ。今は死んだも同然、ここは地獄。一瞬にして自分をパラダイスに送ってくれる。

ぼくの光彩放射のための、それからぼくの透明化のため、ぼくの不在性のための口実であるあの若者たち。
小学校で赤いランドセルをしょっていた少女が倒れて視界から消える。順番がきたのでぼくは出発する。顔も名前も覚えていない新しい友人とともにバスに乗る。

そうした惨禍がなかったならば、人々が送っていたであろう物語。棗椰子の木陰で笑いさざめく子どもたちの声。ワタン(故郷)。

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