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あの土曜

目が覚めて、自分の体がすでに作動中であることを知る。

「それは否定弁証法的詐術なのよ」

娘の声が聞こえた。ずっと友人と携帯で喋っていたらしい。

「それに比べて、あの若者たちの独創的なこと。たのもしくなる」

ああ、さっきまでの討論の続きか。「あいつらはただのブラックバスおたくだ」と言って反発されたあいつらのことか。自分を批判されない安全な場所において、圧倒的な戦力でネズミ狩りをするやつら。なんのアイロニーも含まれていないまま「ぼくたちは世界の安定のためにやっている」と放言してしまうやつら。

娘の嫌悪に満ち興奮した声が続く。

「論理の稚拙さ、表現の凡庸さ。別にあの人の文化を差別するわけじゃない。個人の問題だと思う。芸術の歴史についての知識がひとかけらもない。勉強が足りない。いまのアートシーンに迎合する必要はないけど、表現する以上、それがないのでそれまでの芸術に対する侮蔑になってしまっている」

結果は見えている。もし自分がそれまで生きていたら、彼らがどこかへ飛んでいってしまった後、この結果の後始末をまた自分たちがやらねばならないのだろう。誰も止められない。わが眠りは再びコンセプショナルなものでなくなって、物質的なものになっている。古代から伝えられてきた移動の手段、明日への扉。意識が遠のく。一日の終わり。


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