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あの芻狗

もう五時ですね?
私に声をかけられた男は、あわてて腕時計を見た。
動物は自分のまわりにそれぞれに独特な環世界を持っている。われわれはコウモリであることはどのようにあることなのかを知りえない。というより、それがどのようであるのかという問いの意味を知るには、コウモリの感覚器をもってコウモリの体で行動してみることが必要だ。ヴァーチャルな世界の中での理解でも、少しはコウモリに近づけるのだろう。

あの船に乗って、どこか遠いところに行きませんか?
男は立ち上がり、慌てて自分の巣へと逃げ去っていく。
自分の外へ出て行った言葉が、自分に帰ってくる。猫が毛糸球で遊ぶように、私は言葉で遊んでいる。猫は毛糸球を本気で攻撃する。遊びが終わったとき、猫は毛糸球を不思議そうに見る。

「他人の身になってみればわかるでしょ」という感情移入で、倫理を基礎付けることができるのは同質化志向の「蓄群」だけだ。猫は自分が家畜だとは思っていない。あなたも、猫のように生きているのだろう。


引用;富岡多恵子 『芻狗』講談社 1980

あの弁駄

おしゃべりが続く。
赤かピンクか。なめらかな物か生成りのざっくりした物か。甘いものか濃い味のものか
もちろん、もうひとつある隠された回答、(お互いに生まれたときから標準装備している)もうひとつの選択肢は、ふたりの頭の上の空間のどこかにいつも存在している。表面上のあれかこれか?という安全な質問でこの世界は続いている。

いやならいやと言ってほしいという無言の圧力が、それを現わにすることがある。
この世界にそのまま居残るか外に出て行くか。
逝ったらそれで終わりとみんな思っている。

ドジなやつには違いない。
講師に若手漫才師の××さんをお招きして女子中学生との付き合い方を勉強してもらいましょう。では、一人前に扱っていないのはどちらなのでしょうか?あなたの国も、子供の権利条約をはやく批准してもらいたいものです。では、次の問題です。

TVのクイズ番組の正解の音が部屋をみたす。
部屋の寒さは冴えかえる。

あの選択

そのタイミングのよさというか、シンクロというか、自己正当化のための欺瞞というか、無意識からなにかが、(真空を埋めるみたいに)すかさずやってくる。

デトックス(毒出し)というのが一時はやったでしょう?
キノコなんてのが特にそうなんだけど、体の中の毒を排出してくれるもの、毒を吸収しやすいもの、毒と結びつきやすい性質のものほど、摂取した時点で(致死的な)毒をすでに含んでいることがあるわけ。それ自身は、自分のその性質を知ってるから自分が毒を持っていることなんてぜんぜん気にしていない、へっちゃらでふつーに生きているから、ついそのまま適当な処理をしないまま食べちゃう。あく抜きとか、このごろはぶくことが多いけど、自然ってそのまま吸収すると危険なことが多いんだ。

機械化されている部分で人間が侵される。それによって人間らしい自然な行動が隠蔽される。まるで機械が嫉妬してるみたいに。


あの戦艦

あなたのなかのよからぬものが、人間のなかの「呪われた部分」こそが豊饒な意味を持つ至高の部分なのじゃなかったのかい?じゅびじゅごうぁあ。あ、失礼、このごろ接触が悪くなっているんだ。じゃ、ほんとうのことを言おうか。ここじゃだめだな。台所に行こう。
 古い冗談だが、レプリカントはドリー羊の夢を見るんだ。いつもあなたを愛してるってか?「おまえたちを愛してくれる者を愛したところでなんだというのだ。お前を呪う者を祝福し、侮辱する者のために祈れ。」クローン老化して死ぬが、レプリカントに死はない。老化による接触不良はあるがどの部分でも交換可能だ。で、本来白か黒か分別できずグレーの部分で生きるのがあんたたち人間なんだろう?自分が属している社会に「言わされた言葉」でその社会に帰属するための義理は果たせるんだろうけど、いたましいもんだね。社会から悪と糾弾され存在を脅かされる恐怖から逃げ、社会の正義に安住してそれに流されること、そんなのでほんとうに生きていると言えるのか?ランフィー(浪費)。もったいない、せっかくの一度きりの人生を。


あの愛猫

はい、またお会いしましたね。こんなに早く会えるなんて、、、思ってたんですよ、そういうものなんですね、不思議ですねぇ、こわいですねぇ、楽しいですねぇ。

はい、今日の映画は、「ハイビスカスの林をぬけて」。ハイビスカスの林なんてあるんですかなんて言っちゃだめですよ。そこでこの監督の罠にはまってしまってるんですから。きれいな南洋の島のお話なんだな、ということですね。
ギリシア悲劇を基にしてこの監督は脚本を書いたんですね。だから、「人間の傲慢さ」、「ヒュブリス」、全編その空気でいっぱいなんですよ、気がつきましたか?

初めのシーン、ネコちゃんが集中治療室に入ってますね。ICUってガラス窓に書いてありますね。かわいらしい字で。これがくせものなんですよ。嘘くさいでしょう?

はい、カメラがずんずん、ずんずん集中治療室の中に入っていきますね。ネコちゃんの体に何本も、何本もビニールの管がささってますね。ネコちゃんの顔にも酸素吸入の透明なマスクがかけられてますね。かわいそうですねぇ。痛いでしょうねぇ。この後ネコちゃんの回想シーンですね。貧しくてもかわいがってもらえた。この子、いたずらネコだったんですねぇ。チャップリンのキッドを思い出しますね。ジャッキー・クーガン。このネコは女の子だけど。ほんとぎゅっと抱きしめてあげたいような演技してますね。

前の『かつおぶしの味』のラストシーン覚えていますか?現実的でショッキングな結末でしたね。でも、ああこれでいいんだという風に、幸せな気分になったでしょう。この監督はほんとに映画がわかってるんですね。
ということで、みんなにさよならを言う時間です、あなたたちもいっしょに言うんですよ。
じゃ、地球さん、さよなら、さよなら、さよなら。


あの船影

自分の叫び声で目が覚めた。
凄まじい咆哮が海上をゆるがしている。海は毎日人を飲み込む。
顔の真ん中に目がひとつしかない妖怪。何千本もの触手をぼくの体にのばしてくる。冷静な生き物はどこまでも追いかけてくる。

いつも強者の側につき、弱者を裏切る典型的な機構に身をまかせるものもいた。
彼らが生きていくためには、しかたないことなのだろう。
彼らと別れ、ぼくは小さな船に乗り出国した。戦いと希望のメッセージを携えて。

バティスタと戦いバティスタになりかわったあの男は、従順な者たちを支配下においた。反抗は死だった。いま死に近づいたあの男は、ぼくたちから逃げ切ることができるのだろうか。

夜空を、かすかな光をひいて星が落ちていく。

巨大な軟体動物の影が闇の中から突如現れ、小さな生き物たちをけちらかす。

ぼくのメッセージは敗北のメッセージであってはならない。


引用;『ハバナへの旅』,レイナルド・アレナス,現代企画室,2001.3.5


あの笑里

小鳥が道をやってきて、
わたしが見てるのを知りながら---
ミミズをこなごなに噛みくだいて
独立を宣言してしまった、まだ生なのに。

四方八方くまなく、
すばやく動く眼球でうかがって---
横の塀のほうに体を移す、
援助が降ってくるのを期待して---

闇に育った生物に太陽の形を教えるものたちの薦めで、
糸車を廻していた家から外に出て、
つぎめのないしろがねの大海を、
オールで漕いで渡ろうとしている。

あのように高い塔を壊されたものと、
操作された人道的見地から無差別爆撃をしたものたちが、
安全な場所から用心深くパン屑を差し出したので、
巻いていた羽を広げて火を掻き立ててしまった。


あの土曜

目が覚めて、自分の体がすでに作動中であることを知る。

「それは否定弁証法的詐術なのよ」

娘の声が聞こえた。ずっと友人と携帯で喋っていたらしい。

「それに比べて、あの若者たちの独創的なこと。たのもしくなる」

ああ、さっきまでの討論の続きか。「あいつらはただのブラックバスおたくだ」と言って反発されたあいつらのことか。自分を批判されない安全な場所において、圧倒的な戦力でネズミ狩りをするやつら。なんのアイロニーも含まれていないまま「ぼくたちは世界の安定のためにやっている」と放言してしまうやつら。

娘の嫌悪に満ち興奮した声が続く。

「論理の稚拙さ、表現の凡庸さ。別にあの人の文化を差別するわけじゃない。個人の問題だと思う。芸術の歴史についての知識がひとかけらもない。勉強が足りない。いまのアートシーンに迎合する必要はないけど、表現する以上、それがないのでそれまでの芸術に対する侮蔑になってしまっている」

結果は見えている。もし自分がそれまで生きていたら、彼らがどこかへ飛んでいってしまった後、この結果の後始末をまた自分たちがやらねばならないのだろう。誰も止められない。わが眠りは再びコンセプショナルなものでなくなって、物質的なものになっている。古代から伝えられてきた移動の手段、明日への扉。意識が遠のく。一日の終わり。


あの妖女

準備期間中の表示が消えると同時に繰り出されるかすかな意志が、口臭となって一番身近に居る親族を悩ませた。母親譲りの移動速度が最高の期間には、自己自身の情報も追いつくことができず、鋭い線を引いて距離のある一日滞在地へと飛び移ることができる。火星の赤い岩の端に実体化したマラカイ・コンスタントは、去っていく鳥たちに腕を伸ばし、やっと追いついたデータが、故郷への複数の通路をクリアに表示しているため、時を忘れて指で鉛筆を回していた。今、すべてが自分の手の中にある。それがイカサマだとわかっていても気分は楽だった。


あの相談

はっきり言って私にはあなたを救おうという気はちっともありません。
結論を先に申します。
今のあなたが○○さんに好かれることはないでしょう。
なにかのすれ違いが二人の間にあることは、あなたにもうすうすわかっています。
彼女が作ったギョーザを食べたとたんに気分が悪くなったのも、そういうことが根本にあるのです。
検査してもはっきりしたことはたぶんわからないでしょう。

お察しのとおり、過去のことではありません。現在の関係の中から出ていることです。
ちょっと考えればわかることなのに、どうしてあなたはそのことに気がつけないのでしょう?

あなたが職場の人間関係に傷ついて、いままで蜜月関係だった人と別れて自分に対応しうる人間を求め彼女にたどりつく。そして、恋人になろうと努力しても彼女があなたに友人としての顔しかみせてくれないことに不満を持つ。

ね、ここまで言えば賢明なあなたにはわかるでしょう?とても重たいものをあなたは彼女に押し付けているんです。

もっと彼女を信じて、彼女をそのままの姿で見ましょうよ。
汚い部分がいろいろ見えてきて幻滅するかもしれないけど、そういうことがあって初めてあなたと彼女は友人以上の関係になれると思うよ。キツイようですけど、そういうことです。


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